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対応状態原理による残余粘度の推算

 対応状態原理による残余粘度の推算方法としては、対臨界密度の関数としたものが古くから使用されていた。しかし、残余粘度は温度にも依存するために、近年、Helmholtzエネルギと関連させた拡張対応状態原理が提案されている1)8)。拡張対応状態原理による残余粘度は、参照物質を下付き添え字0で表すと次式で算出される。

(3.1)


 ここに

(3.2)

(3.3)

(3.4)

f :温度換算係数

h :密度換算係数

T0, ρ 0は対象物質の偏倚HelmholtzエネルギΦrおよび圧縮係数Zから次式が満足するように算出する。

(3.5)

(3.6)

 対象物質の実測値がある場合には、式(3.1)のρ 0 の代わりに次式のρ0,vを用いることで粘度推算の精度を図る。

(3.7)

 ここに

ψ :形状係数

 いくつかの冷媒について、参照物質をR134a1)あるいはR290(プロパン)9)として形状係数ψを算出した結果を図3.1に示す。

図3.1 形状係数

混合物質についても、純物質から拡張対応原理を用いて推算手法が報告されているが、混合冷媒は組成が固定されているために、純物質と同様の手法が取れると考えられる。主に使用されている混合冷媒の形状係数を図3.2に示す。

図3.2 混合冷媒の形状係数