粘 度
粘性係数は、流動様式を決定付ける物理量で、配管設計には不可欠なものである。冷凍サイクルあるいはランキンサイクルのように動作温度範囲が広く、相変化を伴うような場合、気液で利用できる相関式が便利である。このような相関式としてR134aを例にとると次のような相関式が提案されている。
(1)Huberらの相関式1)
ここに
η0:希薄気体の粘度
Bη:粘度を密度で展開した第2項の係数
ρ:密度
Δ;η:残余粘度(密度の影響項)
希薄気体の粘度η0、第2項の係数Bη、残余粘度Δηは次式で整理されている。
・希薄気体の粘度η0
ここに
M:分子量
T:温度
σ:剛球直径
ai:係数
B:ボルツマン定数
ε:特性エネルギ
・第2項の係数Bη
ここに
bi, ti:係数
・残余粘度Δη
ここに
Tc:臨界温度
ρc:臨界密度
ci:係数
(2)Scalabrin らの相関式2)
ここに
Pc:臨界圧力
R:ガス定数
NA:アボガドロ定数
ni , gi , hi:係数
それぞれの係数については文献を参照のこと。
Huberらの式、およびScalabrinらの式から算出した飽和液、飽和ガスの粘度を図1.1、両者の偏差を図1.2に示す。
図1.1 R134aの飽和液、ガスの粘度
図1.2 相関式の偏差
粘度は三重点近傍の高密度域で急激に増加する特徴があり、この特徴を再現するために相関式に工夫がされている。R134aのような比較的測定データが充実している場合、相関式の違いによる偏差和少ない。Huberらの式、およびScalabrinらの式を比較すると図上ではほぼ重なり、偏差は三重点近傍の飽和液を除き2%以内の偏差で一致している。粘度の測定は毛細管式、円盤式、振動式などがあるが、何らかの運動エネルギを与えて測定する必要があり、測定の複雑さに加え、系に与える外乱が大きく、熱力学的物性の測定よりばらつきが多い。R134aの実測値でも±3%程度の偏差があり、両相関式の差は相関に用いた測定データの差と推定される。
近年、三重点から超臨界までの幅広い温度、密度に適用できる相関式が提供されるようになってきているが、物質が限られている。粘度の推算のために、多くの手法が提案されているが、測定値がある場合、対応状態原理と組み合わせて使用するのが比較的信頼性が高いと考えられる。
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