蒸気圧縮式冷凍サイクルの効率

冷媒と効率

 冷凍サイクルの特徴のひとつに、冷媒によって特性が大きく異なることが上げられる。主な冷媒の特性を下図に示す。計算条件は、凝縮温度45℃、蒸発温度15℃、圧縮開始時のスーパーヒート0℃、膨張弁入口のサブクール0℃とし、縦軸に逆カルノー効率(COP/COPth)との比、横軸に圧縮開始時の単位容積当たりの冷却の能力をとっている。なお、計算はRcycleを用いて行った。

図 冷凍サイクルの特性

 蒸気圧縮式冷凍サイクルの効率は逆カルノー効率と比較すると10~30%程度効率が低く冷媒により低下割合が異なる特徴がある。逆カルノーサイクルとの最も大きな違いは減圧過程が等エンタルピ変化であり、減圧過程での絞り損失が大きく影響している。また、計算条件で圧縮機入口の過熱度を0としているために、冷媒によって圧縮機出口の過熱度が異なり、効率の差となっている。代表的なR600aとR410Aの冷凍サイクルをT-s線図上に表すと下図のようになる。

図 T-s線図上の冷凍サイクル

 減圧過程での損失を比較すると、不可逆損失の絶対値はR600aがR410Aより若干大きくなるが、蒸発潜熱が2倍弱あり、サイクルとしては不可逆損失が小さくなる。また、R410Aは断熱指数(比熱比)が比較的大きく、、過熱度0で断熱圧縮すると圧縮機出口は過熱ガスとなり、凝縮温度を代表温度にとると見かけ上の効率が低くなる。カルノーサイクルあるいは逆カルノーサイクルはあくまでも二温度間で動作するサイクルでの効率比較であり、実際の熱交換が定温で行われることは極まれであり、空気あるいは水を熱交換媒体にする場合、顕熱として温度変化を伴う。熱交換媒体の温度変化と過熱ガスを有効に利用することにより、損失を低減できる。

図 膨張機付冷凍サイクルの特性

 膨張機を用いると冷凍サイクルの効率は逆カルノー効率に極めて近くなる。特に、断熱指数の小さいR600aとR1234yfでは圧縮機出口が飽和域になるために、逆カルノーサイクルとなる。一方、断熱指数の大きいR32では効率は低下するが、圧縮機出口の過熱度が大きくなるためで、熱交換器の設計で損失を低減できる。

 蒸気圧縮式冷凍サイクルは膨張機を設けることにより、きわめて逆カルノーサイクルに近いサイクルを構成できるが、二相膨張になるために、膨張機の効率が低く実際のサイクルでは膨張機は使用されない。膨張機に代わる膨張損失の低減方法が提案されている。