湿り空気の物性

湿り空気の高精度な物性を推算するためには、空気と水蒸気の混合気体の高精度な状態式から解く必要があるが、ここでは近似的に空気と水蒸気を理想気体とし、混合時の相互作用が無いと仮定して物性値を求める。

記号の説明

A =乾湿係数[K-1] h =湿り空気のエンタルピ[kJ/kg(DA)]
ha =乾燥空気の比エンタルピ[kJ/kg] hw =水蒸気の比エンタルピ[kJ/kg]
h’w =水または氷の比エンタルピ[kJ/kg] p =全圧(大気圧)[kPa]
pa=乾燥空気の分圧[kPa] pw=水蒸気の分圧[kPa]
pws =飽和水蒸気の分圧[kPa] na =乾燥空気のモル数[kmol] 
nw =水蒸気のモル数[kmol] ma =乾燥空気の分子量[kg/kmol]=28.9645
mw =水の分子量[kg/kmol]=18.01528 V =比容積[m3/kg(DA)]
T =温度[K] Td =乾球温度[K]
Tw =湿球温度[K] R =気体定数[kJ/kmolK]= 8.314472
x =絶対湿度[kg/kg(DA)] xs=飽和絶対湿度[kg/kg(DA)]

◆状態式

 乾燥空気および水蒸気の状態式は次式で表される。


また、Daltonの法則から全圧pは次式で算出される。


◆絶対湿度

絶対湿度は通常湿り空気の単位体積中の湿り空気中の水蒸気の質量で表されるが、ここでは空調分野で使用される乾燥空気と水蒸気質量の比を絶対湿度と定義する。絶対湿度を乾球、湿球温度から求める場合、乾湿計公式を用いる方法と湿球温度を断熱飽和温度として算出する方法がある。

・乾湿計公式による絶対湿度算出

絶対湿度は状態式とDaltonの法則から次式で表される。


  ここで、水蒸気分圧pw は 次式の乾湿計公式を用いて算出する。


 乾湿計係数Aは、湿球の測定方法により異なる。乾湿計として広く使用されているアスマン通風乾湿計では,Sprungの式が使用され,次の値が用いられる。
   A =0.000662K-1      (湿球が氷結していないとき)
   A =0.000583K-1      (湿球が氷結しているとき)

・断熱飽和温度から絶対湿度算出

湿球温度を断熱飽和温度と仮定できる場合には、熱収支から絶対湿度が計算できる。湿り空気のエンタルピ差が蒸発潜熱と等しくなり次式が得られる。


 湿り空気のエンタルピは仮定から乾燥空気と水蒸気のエンタルピの和として算出し、整理すると次式が得られる。


ここで、乾燥空気、水、水蒸気および氷の比熱をそれぞれ1.005、4.186、1.846、2.093kJ/kgK、0℃での水の蒸発潜熱を2501kJ/kg、凝固熱を333.5kJ/kgとして上式を変形すると次式が得られる。


  ここに  

◆相対湿度

 相対湿度は飽和水蒸気分圧pwsに対する水蒸気分圧pwの比で表される。したがって次式を得る。


ここで、飽和水蒸気分圧pwsは、氷点下の場合にも過冷却水の飽和水蒸気分圧を用いる。

◆水の飽和蒸気圧

 水の飽和蒸気圧は種々の式が提案されているが、ここではWexler-Hylandの式を用いる。圧力をkPaで表した場合、次式で表される。

・液体の場合


・氷の場合


◆比エンタルピ

 乾燥空気単位質量当たりの比エンタルピは次式で表される。

 

参考文献

 JIS Z8806:2001 湿度-測定方法
 日本機械学会、伝熱工学資料改定第5版(2009)