伝熱の基本形態

 伝熱とは、熱エネルギが移動する現象であり、自然環境はもとより、産業機器、生活機器の効率、信頼性に極めて重要な役割を果たしている。  伝熱の一例として、下図のような燃焼熱で水を加熱する場合を考える。燃焼ガスと水は隔板で分離されている。熱移動は高温の燃焼ガスから低温の水に流れるが(熱力学第2法則)、経路として、燃焼ガス、隔壁、水といった物質を介した移動と火炎から隔壁表面に直接に伝わる移動(輻射あるいは熱放射)に分けられる。また、前者は隔板のような固体内の移動である熱伝導と、燃焼ガスから隔板表面あるいは隔板表面と水のような流体と固体間の移動である熱伝達に分けられる。

図1.1 伝熱の基本形態

熱伝導

 固体あるいは静止流体が加熱されると、物質を構成する分子の運動エネルギが増大し、漸次隣接する分子に運動エネルギを伝播し、物資内で熱移動が行われる現象を熱伝導という。固体の熱移動は自由電子の移動によっても熱移動が行われるために、熱伝導率と電気伝導率と相関が強い。  一次元の定常熱伝導では、伝熱量は温度勾配と断面積に比例する。この法則は、1822年にフーリェによって見出され、フーリェの法則と呼ばれる。フーリェの法則を式で表すと次式となる。

(1.1)

 ここで、dQ は熱量、lは比例定数(熱伝導率)、dT/dxx 軸方向の温度勾配、dA は微小面積である。比例定数である熱伝導率は物質固有の物性値であるが温度、密度の影響を受ける。気体では温度の上昇により熱伝導率が上昇するが、液体では水を除けば温度上昇により熱伝導率が低下する。

熱伝達

 流体と固体表面間の熱移動を熱伝達という。熱伝達は気体あるいは液体の流動による熱移動が加わるために熱伝導よりも熱が伝わりやすく、固体表面近傍の温度勾配は大きくなる。熱伝達の流動の様式によって大きく支配され、流動様式が大きく異なる自然対流熱伝達と強制対流熱伝達に分けて取り扱われる。また、加熱、冷却により沸騰、凝縮が生じる場合は、それぞれ沸騰熱伝達、凝縮熱伝達として取り扱われる。  熱伝達を式で表すと次式になる。

(1.2)

 ここで、dQ は熱量、hは熱伝達率、Tf は流体の温度、Ts は固体表面温度、dA は微小面積である。熱伝達率は流動様式により大きく異なり、種々の整理式が提案されている。

輻射(熱放射)

 すべての物体からは、その温度に見合った電磁波を放出し、また、他の物体より放出された電磁波を吸収している。放出する電磁波のエネルギが吸収する電磁波のエネルギより小さい場合は物体は加熱され、大きい場合は冷却される。この熱移動を輻射あるいは熱放射と呼ばれる。黒体二面間の輻射伝熱量は次式で表される。

(1.3)

 ここで、Q は熱量、F1,2 は形態係数、sはステファン-ボルツマン定数、T1T2 は物体の表面温度、A は面積である。